アパレルをはじめとする大手・中堅企業の「ビジネスのプロ」とクリエイション企業である「ものづくりのプロ」が出会うことで新たなビジネスモデルを創出しませんか?
私たちは日本のアパレル産業発展のため、「JAFIC PLATFORM」を運営しています。
現在のクリエイター登録数44件
現在の企業登録数100件
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代表取締役会長CEO 黒川洋 氏
2017.03.21
Company
ー会社概要と、インターネット事業に力を入れるようになった経緯を教えてください。
当社は6年ほど前に大きな方向転換をし、ODMの会社に切り替えました。
ODMはOEMと違い、小売の希望する企画を作り、生産まで全てをやるという業態です。
現在自社ブランドはありませんが、ネット事業はオリジナルブランドでやっています。小売に卸す中小企業の、今後のビジネススタイルとして企画発信の流れにいち早く危機感を感じたからです。
インターネットは今、非常に大きな課題となっています。
小売のパイは減っていなくても、買う場所が変わってきている。なので自分たちも、そこに販売チャネルを持っていかなければなりません。
ただ、ネットは平均上代がとても低い。値段の叩き合いが凄い中で、いかに高品質なものを届け、値段が高く付く理由を伝えるか、という事が大切です。
ー商品を提供するにあたって大事にしている事は何ですか
定番を作ることです。
ネットは色々な人が参入するので、その分色々なファッションをやらなくちゃいけないと勘違いするけれど、ネットで人気なものは定番なんです。
当社が特に得意にしているのは、入学・卒業のマザーニーズと、フォーマルウエアの喪服。それから、喪服のスリッパが意外にも売れます。
定番を作っておかないと、_流行だけでは流されてしまい、消化率が非常に悪くなる。最終的にいつもセールをやらなければならなくなる。
定番のメリットは、セールをしなくて良い事ですね。
お客様が服に対して興味を持つ大きな理由の一つに、ファッションそのものと、もう一つ大きいのがタレントの力です。
これは物凄い影響力を持っています。それに乗らない手はない。
我々もタレントを起用してブランドを作り、ものを作ることをテストで始めています。
ーJAFIC 企業活性化委員会の会長もされている黒川会長ですが、委員会の特徴を教えてください
企業活性化委員会というのは、主に会員になっている中小企業さんの活性化を図るための委員会です。JAFIC会員の約8割は中小企業です。
ずいぶん前から、この業界は厳しい状況にあります。アパレルの中小企業は、一時は8万社あったのが、今では5万社を切っています。
我々は専門店を中心にビジネスをやっています。企画力を武器にお得意先に商売をしているのが基本のパターンです。
その専門店が減少してきています。今は最盛期の半分も無いのではないでしょうか。
その中でどうやって生き残っていくかを考えないと、この業界は衰退していってしまいます。
登録してくださっている会員企業さんに、どのように活性化に結びつく事をリターンするか。
それを考え、実践していく事がこの組織の役割です。
中でもJAFIC PLATFORM(以下JPF)という事業は、企業がそれぞれクリエイターさんとマッチングしたい時に、今までは出会う場が無かったので、その場を作ろうという事で発足をしました。
なぜそれを始めたか。
今登録しているクリエイターさん達はそれぞれ独立していて、小さい規模でも展示会やファッションショーを行い、ビジネスを自力で頑張っています。
国内には優秀なクリエイターが沢山いるのにその実力を発揮する場が少なすぎます。日本発のファッションを世界に発信する為に必要な資源が眠ったままになっていては、アジアの他国に遅れを取ってしまいます。
その為、優秀なクリエイターを組織して、日本の企業に結びつけ国内市場の活性化につなげ、更に日本のファッションをアジアから世界へ発信事が、発足の原点です。
企画力だけが勝負の中小企業は、時代に乗っている時と合わなくなる時の、浮き沈みがあります。
企業内デザイナーは社員ですから、時代に合わなくなったから辞めてもらうという訳にはいきません。
社外クリエイターを起用して、社内デザイナーを活性化したり、彼らのクリエイション力を借りて新しいブランドを作りたいという、企業のニーズもあります。
ーJPFでの繋がりは、どうビジネスに役立っていますか
当社とJPF登録クリエイターとの結びつきは、今までで6人位です。
これは物凄く便利な機能だけれど、なかなか他の会員企業に伝わっていないのが現状です。
色々な組み方がある中で、基本となるのはクリエイターに企画力を求める契約の形。
デザイナーは色々な引き出しがあります。自分のブランドでその引き出しを使うなら、こちらで別の引き出しを貸してくれませんか、という契約をしています。
彼らにとってはブランドそのものが命なので。
2つ目は嘱託契約です。
3つ目はデザイン画だけ買う契約の形。
お得意先との商談で、クリエイターの企画が欲しい時にプレゼンをしてもらいます。
ここが一番大事なところです。
その分、クリエイターの考え方を知る機会は沢山必要です。
僕もプレゼン前には必ず食事に行って、お互い好きな事を言い合いながら、その人の人柄を知るように努めています。
外部からクリエイターを会社に招待して、そこに会社のアシスタントデザイナーやパタンナー、MDを付けるので、チームとしてできる人柄を持っていないといけないですね。
ーJPFの今後の展望をお聞かせください
懇親パーティーなど、交流して顔を会わせる機会に加えて、商品を見られる機会がもっとあれば良いですね。
例えば合同展示会とか。
企業とのマッチングのためだけではなく、お客さんもそれぞれ呼び、ビジネスができる合同展だとより良いですね。
ーいま業界に必要な人材はどんな人材だと思われますか
本物のMDを学校で育てて欲しい。
デザイナーやパタンナーの教育は上手く成り立っているけれど、MDの教育は中々上手く出来ていないのでは無いでしょうか。もしくは教えられる先生がいないのか。
MDというのは、我々アパレルにとっては会社を支える最も重要な職種です。実践した人でないと教えられない。
なので、学生に向けた企業へのインターン制度はとても良いと思います。
ーこれから社会に出る学生にアドバイスをお願いします
一般論として、特に女子学生に言いたい事は、安全保障のために仕事は必ずしなくてはいけないという事です。
結婚しても_大体三人に一人は離婚をする時代です。結婚をしてキャリアを捨ててしまっては、その後が辛いでしょう。
子供ができても仕事は続けるというのは絶対です。
ファッションの業界では特に、女性の方が圧倒的に能力が高いです。これは確信しています。
ー学生のうちにしておくべき事はありますか
この先アパレルの業界も、日本の景気も、世界の情勢もどうなるかわからない。
10年、20年後の自分を考えた上で、今何をするべきか。それが学生の内に考えるべき事だと思います。
お金の事も考えなければいけません。
できるかできないか分からなくても、夢は考えないといけない。考えたら半歩叶ったと思えば良いですよ。
例えば、その夢が年収800万か2000万かによっても、結果は違ってきます。
どこに住みたいのか、どんな車に乗りたいか、子供は何人欲しくてどんな教育を受けさせたいか。そう考えると、自ずと答えは出てくるのでは無いでしょうか。
もう一つは、平均寿命が伸びていく中で、定年後何をするか考える事です。
好きな事を今のうちから考えて用意しておくとか、する事は沢山ありますよ。
会社の方向転換から、学生に対するアドバイスまで、常に先を見据えてこられた会長らしさが伝わるお話をしていただきました。
特に、女性の仕事に対する取り組み方や、将来像に関する現実的なアドバイスが印象に残っています。学生である私にとって、心にグサッと刺さるお言葉でした。
企業活性化委員会を通じて、今後企業とクリエイターのマッチングが増える事も非常に楽しみです。
貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。
(編集:橋爪彩夏 実践女子大学生活科学部4年)