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オーロラ株式会社

取締役社長 若林康雄氏

2017.03.21

Company

ー会社概要を教えてください。 

 

明治29年(1896年)に創業し、2016年でちょうど120周年になります。

 

 私で4代目です。洋傘と和装のショールで創業し、その後和装から洋装への流れに沿って 首周りはスカーフとかマフラーに移行しました。

 

傘は雨傘だけでなく日傘も最初のころから取り扱って来ましたが、雨に関連するアイテムとしてレインコートなどが加わりました。主な販路は百貨店ですがOEMなども広げています。

 

ーオーロラという社名の由来は。

 

100周年の少し前、平成5年に社名変更をしました。その前は若林株式会社でした。

 

個人の名前がついているのも悪くはありませんが、パブリックな雰囲気を出していこうと、商標で使っている“オーロラ”を社名にしました。

 

その経緯ですが、昔ヨーロッパに行くときには北回りのアラスカ経由で ロンドンとかパリに行ったわけですけれど、先代がその道すがらオーロラを見て“オーロラ”っていい名前じゃないかと。そんな話をしたのが昭和30年代くらいだと聞いています。そのころ横文字も流行っていましたので、じゃあ商標に採用しようかと。

 

そして傘のネームなどに“オーロラ”と付け始めたと聞いています。

 

 

 

ー企業理念について教えてください。 

 

当社には“個性豊かな服飾文化の創造”という企業理念があります。

 

傘を含めた服飾雑貨というのはファッションの要素からすると、主役が例えばお洋服だとすれば、それに添えて個性を表現する存在でもあります。

 

小物を使ったファッションを楽しむ、そういった側面を強調してあえて“文化”という言葉を用いて服飾文化と表現しています。

 

多様化する生活シーンに向けて、様々な素材やデザインの商品を提供していくことが“文化”につながるのではないかと考えています。

 

 

 

ー生産面で苦労していることなどはありますか。

 

 傘生地などは 表からも裏からも見られるので織りや染色のムラなどがあると良くないので、厳しいチェックが必要です。あとは中国など海外でつくると特に納期遅れ等が発生する場合もあり、品質と納期には特に気を使っています。

 

 

ーグローバル展開を含めた今後の展望を教えてください。

 

 これは難しいところですね(笑)。やはりファッション産業だけでなくて日本の企業にとって海外展開は一つの夢ですよね。

 

当社は中国に工場を作る過程で、マーケットにも容易に入れるのではないかと考えていました。

 

日本はこれからより少子高齢化が進んでマーケットは大きく伸びる要素がありません。百貨店の売り上げも92年がピークで徐々に下降線を辿って来ました。

 

モノづくりやファッション産業について日本はかなり進んでいる上、アジアは地理的にも近く 体形も似ており経済の発展性もあることから、ヨーロッパなどに売り込むより有望ではないかと考えたのです。

 

そして日系の小売業者さんを中心に広く展開しようと動いたのですけれども 中国については思った様には進んでいません。

 

地元企業との競争も激しく、国や地域の内状そして人的なつながりについて 少しでも疎いと上手く行きません 。

 

香港、シンガポール、台湾などについては大きな伸びはありませんが順調です。ただ、やはり南の方の国では商材的に冬物のカシミア製のマフラーなどを持っていってもあまり売れません。気候風土やその土地の慣習などの要素への対応は大切です。

 

ただ、傘に関してはNYの傘専門店などからも当社の製品の引き合いがあって 当社を含め日本の傘が置かれていたりして、海外でも日本の傘というのが注目されていると感じます。

 

将来的に日本の少子高齢化のマーケットでどうやっていくかについては、基本的なことですが一枚、一本、一品、一着を自ら丁寧に作り、丁寧に売っていかなくてはいけないなと思います。

 

機能性やファッションの要素だけでなく、素材や製品の出来上がる過程やモノ作りのこだわり等が伝わる丁寧なビジネスをやっていかなくてはいけないと。

 

将来的に数字が増やせるかどうかというのもありますけれど、数字の規模ではなくて中身でやっていくしかないのかなと思っています。

 

これだけ情報やモノがあふれている時代に、プラスアルファで何をやっていくかについては 今後の継続的課題ですね。

 

 

 

ーJPFに登録した経緯を教えてください。

 

 ライセンスブランドはいま、業界の中でも賛否両論あり見直しがされています。その様な中、オリジナルブランドの強化もしなくてはいけない。

 

しかし社内だけでモノを考えていても限界があるというか同質化してしまう要素もある。同質化を避け新鮮さを出していく為、新進のデザイナーさんに企画をしてもらおうと思い、JPFでクリエイターさんとコラボレーションしました。

 

レインコートなど今までと違う雰囲気のモノが出来て新たな売れ筋が生まれました。JPFの活用で当社のモノづくり、デザインの幅が広がりました。

 

服飾雑貨の単品だけでは特徴などの表現に限界があるので、洋服ともコラボレーションできるといいですね。

 

クリエイターさんにも次のステップアップにつなげてもらえればと。将来が楽しみです。ぜひ応援していきたいです。

 

 

 

ー業界に求める人材像はどのようなものでしょうか。

 

たとえ営業関係などの職につくにしてもやはりファッションの勉強は必要ですね。

 

ファッション業界はバラエティに富んだ仕事で、柔軟性を持つことが大切だと思います。

 

かたちのあるモノは 目に見えないものによってつくられている。それは作った人の心だ。という言葉に出会い最近私は非常に共感を覚えました。

 

モノを使うときにはその心に思いを馳せ、モノを創る時には心を研ぎ澄ませて使う人の事を考える、という事を大切にしたいと思っています。

 

皆さんの参考になればと思います。

 

 

 

長い歴史を持つオーロラ株式会社の創業したころのお話や、傘の歴史、そして今後の展望まで幅広いお話を伺うことができ、非常に興味深かったですし、若林社長の教養の幅広さが垣間見えるインタビューでした。将来的に少子高齢化がさらに進む日本のマーケットでは「一枚、一本、一品、一着を自ら売って、もっと丁寧なビジネスをやっていかなくてはいけない」という言葉が印象的でした。

 

お忙しい中、非常に丁寧にお話しをしていただきました。ありがとうございました。

 

Interviewer: Nagami Hinako

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