アパレルをはじめとする大手・中堅企業の「ビジネスのプロ」とクリエイション企業である「ものづくりのプロ」が出会うことで新たなビジネスモデルを創出しませんか?
私たちは日本のアパレル産業発展のため、「JAFIC PLATFORM」を運営しています。
現在のクリエイター登録数44件
現在の企業登録数100件
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代表取締役社長 植田美喜雄氏
2017.03.21
Company
ー 会社概要を教えてください。
会社の設立は1972年、今年で44年目になります。
昔からニットを一生懸命作り続けている会社です。ニットといってもセーターではありません。
全国500件ほどのブティックさんに卸しており、百貨店や路面に自社の直営店舗も持っています。
売り上げは11億、従業員は全国に45名程度です。
お洋服の会社なので、従業員の格好は特に何も言いません。良くも悪くも金髪の社員がいたりとか。ファッションを楽しむというのが我々の社風です。
ニットでお洋服を作るというのが当社の一番の特徴で、ニットファッションを高めて洋服の主役にしたいというのが一番の目的であり、お客様に一番に楽しんでいただきたい所です。
まだ世に無いお洋服を作ることは、私たちの使命であり伝統芸能みたいなものなので、一生懸命守っていかないといけませんね。
ー ニットを生産するにあたって、面白いことや苦労することはありますか。
何が大変かというと、産地が限られてくるという事。
国内でニットを作れるところが、少なくなってきているというのが現実問題です。
ただ、僕たちがお取引している福島、新潟、山形の産地のニッターさんはしっかり設備投資をした将来性のある企業で、今後も長きにわたってお取引できると思っています。
ニットを作る上で面白いのは、無限大に何でも作れる事。
自分たちで糸を作り、色を染め、編み地も作ります。可能性が広がり、探究心が尽きる事が無いです。
だから僕らはニッターさんに物凄く難しい事を要求しますし、デザイナーにもレベルの高い事を要求します。
工場さんが、今回はこんな編み地を作ったけどどうだ!と言う時もあるし、こちらが工場さんに対してまだまだですね、と言う時もある。
互いに切磋琢磨して良いモノを作り上げる、こんな良いパートナーはいないと思っています。
ー お客様が喜んでくださる瞬間はどんな時ですか。
僕も売り場に立つ時がありますが一番分かりやすいのは、友達に褒められた、どこで買ったのと言われた、細く見えると言われた、とか。気やすさも大事ですが一番は綺麗にお似合いになった時。
ブランドタグを見なくても、選んだらいつもあなたのところの商品よ、と言われると堪らなく嬉しいですね。
東北の震災のあと、卸先のブティックさんで、浪江町から来たお客様が久しぶりにお買い物をされたそうで。フィッティングルームから出てきた時の笑顔が忘れられないと仰っていました。
だからお洋服の仕事というのは、人を幸せにする何かがあるのかな、と思います。
ー ブティックとの繋がりが強いんですね。
全国のブティックさんに多く卸していますが、そこで購入いただくお客さんは本当に大切です。ミセスがターゲットのお店とは言え、40代から70代のお客様まで本当に幅広い客層がいます。いつも綺麗な格好でおしゃれを楽しんでいますね。
店員さんとお客さんの信頼関係は凄く深くて、店員さんが「あなたはこれ」と言うだけで、お客さんはそれを信じて5万、10万の洋服を買っていかれます。全く押し付けではなく、似合うの一言で決まってしまうのは本当に凄いといつも思います。
そういう方たちが支えてくれているから、良いものを一生懸命作ると受け入れてもらえる。値段だけで評価されないものがあります。
今の時代アパレルは売れないと言われますけど、若い方が普段入らない小さな店の売り上げは結構良いんですよ。
これからミセス層はどんどん増えてくる訳で、ある一定の感度を持ち、クオリティをちゃんと維持し、待ち構えていればお客さんはどんどん増えていきます。
ー 会社としての今後の展望を教えてください。
ニットに対しての追求は、とことんしていきます。ファッションの中でニットの世界を高めていきたい。
1型で10枚や20枚程度のものでも製品化する時もあります。普通は無駄と思われる事ですが、必要であればその無駄も良しとしています。そこからネクストに対しての新しい技術だったり、感覚が生まれると思うんですよね。
僕らでも、こんなニットを作っている会社は無いと思う時があります。なので、いつかの夢として海外でコレクションをしたいです。海外で認めさせたい。
営業政策面で言うと、自前のお店を増やして行くこと。僕たちの世界観を広げ、ニットの面白さを知ってもらう場所が必要だと思っています。
ブティックとの繋がりもしっかり続けていきたい。営業自身が売り場に立ったり、フェアを開催してもらったりと、売りっぱなしではなく、売った買ったの関係からもう一歩踏み込んだ関係づくりをしていけば、厳しい時代も大丈夫ではないかと思います。
ー JAFICに登録するまでの経緯と決め手を教えてください。
ニットのテクニックやノウハウを共有できるところが出てきたら良いな、というのが一番の決め手です。
40年以上やっているので、ノウハウの蓄積は山ほどあります。
当社には現在2つブランドがありますが、アイデアに悩んだ時のカンフル剤として、また新ブランド立ち上げの際にクリエイターと組んだり、当社のデザイナーとは違う感覚がエッセンスとして欲しい時に、一緒にものづくりができたらと思っています。
当社のものづくりに合いそうな、いい人がいたらやっぱり組んでみたいですし、いい人が見つかるように常にアンテナは張って情報は集めています。
ー 次世代に求める、会社としての人材像
ー言で言うと、真剣な人。ファッションに対しても仕事に対しても、真剣な人と仕事がしたいですね。
今うちの会社にいる人は皆、一生懸命で真剣で時にはくだらない話もしたり。その中で白けた人がいたら、会社の調和が取れなくなってしまいます。僕らと同じくらいの熱量を出してきて欲しい。
洋服が好きな子は沢山いますけれど、在庫整理でも何でも真剣にできる子は将来伸びると思います。
知識もキャリアも多少無くても、自分の意欲次第で取り入れられますし。
ー学生のうちにしておくべきこと
いっぱい遊ぶことです。色んな見識を広げて、色んな人と出会っておいた方が良い。勉強ばっかりしていても、社会には適合しないですからね。
特にアパレルの仕事はそうですね。洋服屋のノリってそんなものです(笑)僕はそういうキャラを求めます。
植田社長の、ものづくりに対しての熱意や人に対する愛情が終始伝わるインタビューでした。
その熱意が社内だけでなく、工場やブティック、更にお客さんまでも巻き込んでおり、社長率いる会社のチームワークに圧倒されました。
価格競争に入るなら、その労力や時間をものづくりに費やしたいという社長のお言葉通り、工場に設備投資をしたり、地方のブティックに頻繁に足を運んだりと、糸を作るところからお客さんの手に渡るまでの全段階に、手を抜く事なく取り組んでいらっしゃいました。
このような企業がある事は、MADE IN JAPANの誇りだと思いました。
お忙しい中、ありがとうございました。
橋爪彩夏(実践女子大学 生活科学部)